Portfolio3 of ajisaka.net

3.責任の範囲

(理念を実現するための方略Ⅰ~Ⅳと各科目との対応)
 理念を実現するための方略Ⅰ~Ⅳと、各科目との対応を現在までに経験した主要な科目で説明する(全科目の詳細はエビデンス資料[2]を参照)。また、クラス担任とクラブ顧問で経験した教育的視点からの取り組みと方略との対応を補足的に追記する。

3-1.講義科目との対応

(1)科目名:建築計画

概要:本科目は、建築の意匠・デザインを検討する上で、有用となりうる西洋・日本・近代建築史を学び優れた技法を理解するとともに、建築を形づくる構成要素や単位空間に関する基本事項について学び、それらを踏まえた設計製図・模型製作を通じて計画の意図を的確に伝える能力を養うことを目的とする。

方略との対応:方略Ⅱの「建築スケッチ方式の講義ノート」と、方略Ⅲの「穴埋め方式の講義ノート」を採用している。その理由は専門的な知識を初めて身につけようとしている3年生に対して、基礎的な知識を、キーワードとして穴埋め方式により記述し、覚えさせるためである。

(2)科目名:生活環境計画

概要:人の生活にとって必要不可欠な衣・食・住の一つである住居は、当初は厳しい自然環境から生活環境を守るためのシェルターとしての役割が主であった。しかし、現代に至るにつれ生活環境に快適性を求める傾向が強まり、その結果として地球環境の破壊という弊害も生じてきている。本科目は、主に住居における人の快適性に関わる環境要素について学習し、環境共生との関わりを理解することを目的とする。

方略との対応:前期は方略Ⅲの中でも、「通常方式の講義ノート」を採用している。ここで注意しなければならないのは、通常方式とはいえ、毎回の授業ごとに回収・チェックを行い返却している点である。とくに優秀なノートに対しては「鰺マーク」と呼ばれる認定マークを与えている。学生に対して、このマークが成績には直接反映されないことを事前に宣言しておくことで、こうした作業に関して点数だけでない価値を学生自身が見出すことにつながる。

(3)科目名:ユニバーサルデザイン

概要:この講義では、これからの「ものづくり」に求められるユニバーサルデザインの概念について、事例や演習を通して理解することを目的とする。

方略との対応:方略Ⅲのプレゼンテーションの工夫に加え、方略Ⅳの中でもグループ学習の中で、状況に応じたリーダーシップを身につけさせるための工夫を採用している。そのために、BSによる討論KJを用いた意見の集約を同時に実施している。

(4)科目名:建築造形実習

概要:本科目は、建築の造形原理やデザイン技法について学び実習を通じて制作のプロセスに触れながら、建築造形に関わる技術的な専門知識の習得を目的とする。

方略との対応:方略Ⅲの中でも、ネームラベルを採用し、作品としての価値を高めることで学習意欲を向上させる取り組みを行っている。また、評価項目を詳細に設定し、価値基準を明確にすることで、一見すると主観的になりがちな美の採点にもある一定の客観性を持たせている。

(5)科目名:基礎研究

概要:基礎研究は、これまで学んできた知識や技能を基礎として、それらを複合・融合し、計画的に研究・調査・計画・実験・製作などを総合的に行い研究活動の基盤となる能力を身につける総合的な学習である。

方略との対応:ユニバーサルデザイン科目と同様に方略Ⅲの中でプレゼンテーション能力の向上と、リーダーシップの習得に向けた取組みを行っている。

(6)科目名:卒業研究

概要:指導教員のもとで具体的に取り組むテーマを決定し、学生が主体となって研究を進める。

方略との対応:方略Ⅰの学生にとって心地よい居場所の創出に加え、方略Ⅲのプレゼンテーション方法の工夫、方略Ⅳのファシリテーション能力を高める工夫などを行っている。卒業研究は少人数制のため、きめ細やかな対応が可能である。

3-2.その他の取り組みとの対応

(1)科目名:クラス担任(4年次・5年次 都市環境コース)

概要:府大高専における担任制度は、大学の担任制度とは異なりその責任の範囲は多岐にわたる。4年次の担任で最も重要なものは夏期に行われるインターンシップと、年度末に行われる進路指導(就職・進学)等における企業・大学の人事担当者との調整業務である。都市環境コースではここ数年、インターンシップも進路指導も「民間企業」「公務員」「進学(大学3年次への編入)」の3パターンに希望が大別される傾向にある。

方略との対応:方略Ⅱの身につけた専門知識を発信することや、方略Ⅳの発言や会話の流れを調整する能力を向上させるために、エントリーシートや履歴書の書き方の指導や、面接による受け答えの指導などを行っている。府大高専では、常識的・一般的な指導を外部委託先(例えばマイナビやリクナビ等)と提携しているものの、個別学生への対応はクラス担任が行うことになる。その際、これらの方略が非常に有効であり、私がクラス担任をした年度の就職率と進学率はともに100%であった。

(2)科目名:クラブ活動(Space Design Club)

概要:私が主顧問をしているSpace Design Club(スペースデザインクラブ)は建築や都市を対象として「ものづくり」を行うクラブである。主に、学外の設計コンペティションへの参加や、建築見学会の企画・実施を行っている。また、大阪府都市整備部が主催している森林環境の保全・再生と都市の活性化を目的とした「笑働の森づくり」活動へ月1回、定期的に参加している。「笑」顔で協「働」するという意図が込められたこの活動において、Space Design Clubでは森林で採れる間伐材を活用したイスやベンチ、人道橋やガイドレールの木質化、チップ舗装による散策路、展示ブースの製作などを地域住民と協働で行っている。

方略との対応:笑働の森づくり活動では、複数の学術機関(府大高専、桃山学院大学、大阪産業大学、大阪府立大学など)の学生が主体となって活動を展開している。具体的には定期的に開催される活動の年間スケジュール、各月の活動プログラムの企画、各プログラムを実行するにあたり必要となる間伐材の準備など、通常であれば大阪府やNPO団体などの「おとなたち」が行うことをすべて、学生である「こどもたち」が行っている。このように学生がすべてを自己決定してまちづくりを行う事例は全国でも類を見ない貴重なロールモデルとなっている。その際に、活用されているのが方略ⅣにおけるBS&KJである。これは地域社会のニーズを抽出する際にも取り入れられるだけでなく、学生主体で方向性を検討する際にも取り入れられている。私が求める教育理念を実践的に体得していくには、こうした場が最も効果的であると考えている。

目次

 2-1.理念と責任の範囲
 2-2.理念を実現するための方略
  (1)教育方法のモデル化
  (2)方略相互の関係性について

 3-1.講義科目との対応
  (1)科目名:建築計画
  (2)科目名:生活環境計画
  (3)科目名:ユニバーサルデザイン
  (4)科目名:建築造形実習
  (5)科目名:基礎研究
  (6)科目名:卒業研究
 3-2.その他科目との対応
  (1)クラス担任
  (2)クラブ活動

 4-1.公開授業シートに基づく
   自己評価・他己評価と改善点
 4-2.自主的な教員の集まり
   に基づく授業改善点
 4-3.ティーチングポートフォリオ
   に関する取り組み

 5-1.短期目標
  (1)クラブ活動における学外表彰
  (2)学友会活動の支援
 5-2.長期目標